骨密度を学ぶ / 測定方法
骨密度検査の種類と精度
どこで受けられる?費用と選び方
骨密度の測定にはいくつもの方法があり、「診断に使えるもの」と「きっかけをつくるもの」がはっきり分かれています。この違いを知らないまま数字だけを見ると、安心しすぎたり、必要以上に不安になったりします。ここでは4つの測定方法の違いと、実際に検査を受けられる場所をまとめます。
骨密度検査でわかること
骨密度検査は、骨にどれだけカルシウムなどのミネラルが詰まっているかを測る検査です。結果はふつう、次の3つの表し方で返ってきます。
YAM値(若年成人平均値との比較)
20〜44歳の健康な人の平均を100%として、自分の骨密度が何%にあたるかを示した値です。日本ではこのYAM値が診断の中心に使われます。
※脆弱性骨折(軽い衝撃で起きた骨折)がすでにある場合は、YAM値がこれより高くても骨粗鬆症と診断されることがあります。診断は骨密度の数値だけで決まるものではありません。
Tスコア
同じく若年成人の平均を基準にしますが、こちらは平均からのばらつき(標準偏差)の何倍離れているかで表します。世界的にはこちらが使われ、−2.5以下が骨粗鬆症の目安です。YAM値70%はおおよそTスコア−2.5に対応します。
Zスコア
同年代・同性の平均と比べた値です。若い人や、他の病気が骨に影響している可能性を考えるときに参考にされます。「同年代と比べればふつう」でも、骨折しやすさそのものは年齢とともに上がるため、Zスコアだけで安心はできません。
数値は「方法とセット」で意味を持ちます
同じ人でも、測る方法や体の部位が変われば数値は変わります。前回と比べたいときは、できるだけ同じ測定方法・同じ施設で受けるのが基本です。
4つの測定方法と精度
| 測定方法 | 測る場所 | 位置づけ | 特徴 |
|---|---|---|---|
| DXA法 デキサ/二重エネルギーX線吸収測定法 |
腰椎・大腿骨のつけ根 | 診断の基準 | 2種類のX線を使い、骨と軟部組織を分けて測ります。骨折が起こると影響の大きい部位を直接測れるため、診断・治療効果の判定はこの方法が標準です。被ばく量はごくわずかです。 |
| QCT法 定量的CT |
腰椎など | 診断に使える | CTを使い、骨の内部(海綿骨)を立体的に測ります。変形や石灰化の影響を受けにくい一方、被ばく量はDXAより多く、実施できる施設は限られます。 |
| MD法/DIP法 | 手の骨(第二中手骨) | 診断に使える | アルミの基準板と一緒に手をX線撮影し、濃度を比較します。装置が普及していて簡便ですが、腰椎や大腿骨を直接測っているわけではありません。 |
| 超音波法 QUS/定量的超音波測定 |
かかとの骨 | スクリーニング | 超音波の伝わり方から骨の状態を推定します。被ばくがなく装置を持ち運べるため、イベントや集団検診でよく使われます。診断基準には用いられません。 |
※「診断に使える」方法であっても、実際にどの方法で評価するかは症状や目的によって医師が判断します。
かかとの測定で「問題なし」と出ても
超音波測定は、あくまで気づくためのきっかけです。結果が低めに出たときはもちろん、正常範囲でも骨折の心配がある方や閉経後の方は、一度DXAによる測定を受けておくと安心です。逆に、この検査で骨粗鬆症と診断されることはありません。
なぜDXAが基準とされるのか
理由は大きく2つあります。
1つめは、測る場所が理にかなっていること。骨密度が下がって困るのは、折れたときに生活への影響が大きい骨です。背骨(腰椎)と大腿骨のつけ根はその代表で、DXAはこの2か所を直接測れます。腕やかかとの数値が良くても、背骨や脚のつけ根が同じとは限りません。
2つめは、同じ条件で測り直せること。骨密度の変化は年単位でみると数%という小さなものです。測定のばらつきが大きい方法では、その変化が誤差に埋もれてしまいます。DXAは再現性が高く、治療の効果があったかどうかを判定できる精度があります。
ただしDXAにも読み方のコツがあります
腰椎の測定値は、背骨の変形(変形性脊椎症)や圧迫骨折、動脈の石灰化があると実際より高めに出ることが知られています。高齢の方では腰椎だけが不自然に高く出ることがあり、そのため腰椎と大腿骨の両方を測ることがすすめられています。数値が想像と食い違ったときは、この点も含めて医師に確認してみてください。
どこで受けられるか
医療機関
- 整形外科/骨粗鬆症の診療を行っていることが多く、DXAを備える施設もあります
- 婦人科・レディースクリニック/閉経前後の骨量減少に対応している施設があります
- 内科・かかりつけ医/MD法や超音波を備えている場合があります
骨密度の測定装置はすべての医療機関にあるわけではなく、方法も施設ごとに違います。受診前に「どの方法で測れるか」を電話やウェブサイトで確認するのがいちばん確実です。
人間ドック・健診センター
オプション項目として選べることが多く、施設によってDXA・MD法・超音波と方法が異なります。申込時に方法を確認しておくと、翌年以降の比較がしやすくなります。
市区町村の骨粗鬆症検診
多くの自治体が、節目の年齢の女性を対象に骨粗鬆症検診を実施しています。対象年齢・自己負担額・使用する測定方法は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の健康増進課や検診案内でご確認ください。無料または少額で受けられる場合があります。
イベント・薬局などの簡易測定
健康フェアや薬局の測定会では、かかとの超音波測定が使われるのが一般的です。気軽に受けられるので最初の一歩には向いていますが、前述のとおり診断には使えません。
近くの施設を探す
地図アプリやウェブ検索で「骨密度」と地域名を入れて探す方法が手軽です。検索語を長くすると結果が出にくくなるため、まず「骨密度」だけで検索し、表示された施設に測定方法を問い合わせるとスムーズです。
費用の目安
骨粗鬆症の診断や経過観察を目的とする場合、骨密度検査には健康保険が適用されます。検査料そのものは3割負担で数百円〜1,500円程度が目安で、これに診察料などが加わります。人間ドックのオプションや自費の場合は数千円になることもあり、金額は施設によって幅があります。正確な費用は受診先にご確認ください。自治体検診では無料または数百円程度の負担で受けられることがあります。
検査の流れと注意点
DXAの場合、検査台に仰向けに寝て、装置がゆっくり体の上を通過するだけです。痛みはなく、着替えを含めても十数分ほどで終わります。
受ける前に確認したいこと
- 服装/金属のボタン・ファスナー・ホックのない服が便利です。外せるものは外します
- 妊娠の可能性/わずかとはいえX線を使う検査です。可能性がある場合は必ず申し出てください
- 他の検査との間隔/バリウムを使う胃の検査、造影剤やアイソトープを使う検査の直後は正しく測れないことがあります。日程が近い場合は事前に相談を
- 過去の結果/以前に測ったことがあれば、結果の紙を持参すると比較してもらえます
受ける間隔の考え方
骨は日々作り替えられていますが、その入れ替わりの1周期はおよそ数か月かかります。骨密度の数値として変化が見えるまでには時間がかかるため、頻繁に測っても差は誤差の範囲に埋もれてしまいます。
予防目的であれば年に1回程度、生活習慣を見直した効果を確かめたい場合でも半年程度は間隔をあけるのが現実的です。治療を受けている方は、主治医が定める間隔に従ってください。
よくある質問
骨密度検査はどこで受けられますか?
整形外科、婦人科、内科などの医療機関のほか、人間ドックや健診センター、市区町村が行う骨粗鬆症検診で受けられます。すべての医療機関に測定装置があるわけではないため、受診前に測定方法を確認することをおすすめします。
費用はどのくらいかかりますか?
健康保険が適用される場合、検査料は3割負担で数百円〜1,500円程度が目安です。別途、診察料などがかかります。自費や人間ドックのオプションでは金額が変わるため、受診先にご確認ください。
超音波の測定は正確ですか?
被ばくがなく手軽ですが、骨粗鬆症の診断基準には用いられません。受診のきっかけをつくるスクリーニングという位置づけです。結果が低い場合は医療機関でDXAによる測定を受けることがすすめられます。
男性も受けたほうがよいですか?
骨粗鬆症は女性に多い一方、男性にも起こります。男性は自覚されにくく発見が遅れやすいため、背が縮んだ、腰や背中が曲がってきた、軽い転倒で骨折したといった心当たりがある場合は、年齢にかかわらず一度相談してみてください。
結果が「骨量減少」でした。どうすればよいですか?
骨粗鬆症の一歩手前という位置づけです。食事・運動・日光といった生活習慣を見直しつつ、次の測定までの間隔を医師と決めておくとよいでしょう。骨折歴やその他のリスクによっては治療の対象になることもあるため、自己判断せず相談してください。
参考
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会 ほか)
- 原発性骨粗鬆症の診断基準(日本骨代謝学会)
- 健康増進事業における骨粗鬆症検診(厚生労働省)
※本ページは一般的な健康情報の提供を目的としたものです。診断・治療については医療機関にご相談ください。
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