日本骨密度プロジェクト

骨密度を学ぶ / 骨密度が下がると

骨密度が下がるとどうなる?
気づきにくい骨折と生活への影響

骨密度が下がっても、そのこと自体には痛みも不調もありません。だからこそ見過ごされやすく、多くの場合、最初に気づくのは骨折が起きたときです。ここでは骨密度が下がると体に何が起こりうるのかを、順を追って整理します。必要以上に不安を持つためではなく、なぜ「測っておく」ことに意味があるのかを知っていただくためのページです。

骨の内部構造がまばらになっていく様子を示したイメージ
骨密度の低下は、痛みを伴わずに静かに進みます。

自覚症状がないまま進む

高血圧や高血糖と同じで、骨密度の低下そのものには自覚症状がありません。痛くもかゆくもなく、日常生活に不便もないため、進んでいることに気づけません。

骨は、ある日突然もろくなるわけではありません。前のページで見たように、骨は少しずつ作り替えられていて、こわす量が作る量を上回る状態が長く続くと、時間をかけて静かに密度が下がっていきます。その間、体は何のサインも出しません。

痛みという形ではじめて表に出てくるのは、多くの場合、骨折が起きたときです。つまり症状が出た時点で、すでに骨折という結果に至っている。これが骨密度の低下のいちばん厄介なところです。

だから「測る」しかありません

体感で分からない以上、状態を知る方法は測定だけです。健康診断で血圧や血糖を測るのと同じ感覚で、骨密度も数値で確かめておく意味がここにあります。測定方法について詳しくはこちら

骨折が起こりやすい4つの部位

骨密度が下がったときに骨折が起こりやすい場所は、ある程度決まっています。代表的なのが次の4か所です。

骨折が起こりやすい背骨・足のつけ根・手首・腕のつけ根の4部位を示した骨格図
骨折が起こりやすい代表的な4部位。とくに背骨と足のつけ根は生活への影響が大きい場所です。

背骨(椎体)

体の重みが日常的にかかる場所です。海綿骨が多く、骨密度の影響が早く出やすい部位でもあります。後述する「いつのまにか骨折」が最も起こりやすいのもここです。

足のつけ根(大腿骨近位部)

転倒した際に折れやすく、折れると歩行が難しくなるため、生活への影響が最も大きい部位です。

手首(橈骨遠位端)

転んで手をついたときに折れやすい場所です。比較的早い年代から起こることがあり、骨密度低下の最初のサインとして現れることもあります。

腕のつけ根(上腕骨近位部)

肩に近い部分で、こちらも転倒時に折れやすい部位です。

いつのまにか骨折

背骨の骨折には、ほかの部位と違う特徴があります。はっきりしたきっかけがないまま、いつのまにか起きていることがあるのです。

転んでぶつけた、という明確な出来事がなくても、日常の動作――重いものを持ち上げる、くしゃみをする、といったことがきっかけで、背骨が少しずつつぶれるように変形していくことがあります。強い痛みが出ないこともあるため、本人が骨折に気づかないまま過ごしてしまう。これが「いつのまにか骨折」と呼ばれるものです。

気づかれるのは、多くの場合あとになってからです。背が縮んだ、背中が丸くなった、以前より腰や背中が疲れやすい――こうした変化をきっかけに、はじめて背骨の変形が見つかることがあります。

骨折が次の骨折を招く

骨密度の低下でもうひとつ知っておきたいのが、ひとつの骨折が、次の骨折の起こりやすさを高めるという点です。

とくに背骨では、ひとつの骨がつぶれると、その上下の骨にかかる負担のバランスが変わり、続けて別の骨が折れやすくなることが知られています。ひとつ倒れると次々に続く、ドミノのような連鎖です。

この連鎖は、裏を返せばどこかで止められるということでもあります。最初の骨折を防ぐこと、そして万一起きてしまっても、そこで気づいて次を防ぐこと。骨折が見つかったときに「もう遅い」ではなく、「ここから先を守る」という考え方が大切になります。

連鎖は止められます

骨折が起きたあとでも、その後の対策によって次の骨折のリスクを下げられることが分かっています。気づいた時点が、対策のはじめどきです。

生活への影響

骨折、とくに足のつけ根や背骨の骨折は、単に「骨が折れて治る」だけの出来事にとどまらないことがあります。

足のつけ根を骨折すると、しばらく歩くことが難しくなります。体を動かす機会が減ると、筋力や体力が落ち、それがさらに動きにくさにつながる――という悪循環に入りやすくなります。背骨の変形が進むと、姿勢が変わることで、食事のときに胸やけがしやすくなったり、息苦しさを感じたりと、一見骨とは関係なさそうな不調につながることもあります。

明るい室内で穏やかに過ごす高齢の人の様子
骨折は、その後の暮らし方にも関わってきます。だからこそ、折れる前の備えに意味があります。

こうした話は、こわがらせるために書いているのではありません。骨密度を保つことが、単に検査の数値を良くするためではなく、その先の「自分の足で動ける生活」を守ることにつながっている――そのことを知っていただくためです。

気づくための手がかり

自覚症状がないとはいえ、まったく手がかりがないわけではありません。次のような変化は、背骨の変形が進んでいるサインのことがあります。

ただし、これらはあくまで手がかりであって、これで骨密度が分かるわけではありません。当てはまるものがあれば、また当てはまらなくても年齢的に気になる時期であれば、一度測定を受けてみることをおすすめします。数値で分かれば、必要な対策も、必要ないという安心も、はっきりします。

気になる変化があるときは

すでに背が縮んだ、背中が丸くなったといった変化がある場合や、軽い衝撃で骨折した経験がある場合は、自己判断せず、整形外科などの医療機関に相談してください。適切な検査と、必要に応じた対応につながります。

よくある質問

骨密度が下がると痛みはありますか?

骨密度が下がること自体には、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。痛みが出るのは多くの場合、骨折が起きてからです。これが骨密度の低下が見過ごされやすい理由です。

骨粗鬆症で骨折しやすいのはどこですか?

背骨、足のつけ根、手首、腕のつけ根の4か所が代表的です。とくに背骨と足のつけ根は、その後の生活への影響が大きい部位です。

いつのまにか骨折とは何ですか?

はっきりした転倒などのきっかけがないまま、背骨がいつのまにかつぶれるように骨折することをいいます。強い痛みが出ないこともあり、背が縮む、背中が丸くなるといった変化で後から気づかれることがあります。

一度骨折すると次も折れやすくなるのですか?

背骨の骨折が起こると、その後にほかの骨折が続いて起こりやすくなることが知られています。ただし、その後の対策で次のリスクを下げられることも分かっています。気づいた時点が対策のはじめどきです。

骨密度が下がっているか自分でわかりますか?

自覚症状がないため、自分で気づくことは困難です。背が縮んだ、背中が丸くなってきたといった変化は手がかりになりますが、確かめるには測定が必要です。

参考

  1. 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会 ほか)
  2. e-ヘルスネット 骨粗鬆症(厚生労働省)

※本ページは一般的な健康情報の提供を目的としたものです。気になる症状がある場合や診断・治療については医療機関にご相談ください。

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