骨密度を学ぶ / 骨密度とは
骨密度とは?
YAM値の読み方と年代ごとの変化
健診で「骨密度」という言葉を目にしても、その数字が何を測ったものなのかは意外と説明されません。骨は硬くて変化しないもののように見えますが、実際には日々こわされ、作り直されています。ここでは骨密度が何を表しているのか、そして一生のうちでどう変わっていくのかを、順を追って見ていきます。
骨密度とは何を測った数値か
骨密度とは、骨のなかにカルシウムなどのミネラルがどれだけ詰まっているかを表した数値です。一定の面積あたりにどれだけの骨の成分があるかを測り、g/cm²(グラム毎平方センチメートル)という単位で表します。
骨を建物にたとえると、鉄筋にあたるのがコラーゲンなどのたんぱく質、そこに塗り込められるコンクリートにあたるのがカルシウムやリンといったミネラルです。骨密度が測っているのは、おもにこのコンクリートの詰まり具合です。同じ大きさの骨でも、詰まっていれば重く丈夫に、すかすかなら軽くもろくなります。
「骨密度」と「骨量」
よく似た言葉に骨量があります。骨量は骨に含まれるミネラルの総量、骨密度はそれを面積で割ったものです。日常的にはほぼ同じ意味で使われますが、体格の影響を除いて比べられるぶん、指標としては骨密度が使われます。
骨は2つの層でできている
骨の断面を見ると、外側の硬く緻密な層と、内側のスポンジのような層に分かれています。
皮質骨(ひしつこつ)
外側を覆う硬く密な部分です。骨全体の強度を支える殻のような役割を持ち、手足の長い骨に多く含まれます。
海綿骨(かいめんこつ)
内側にある、細い梁が網の目のように組み合わさった部分です。背骨や骨盤、大腿骨のつけ根などに多く、表面積が大きいぶん作り替えの速度が速いという特徴があります。
この違いは重要です。作り替えが速いということは、骨量が減る条件がそろったときに影響が先に出やすいということでもあります。閉経後にまず背骨の骨密度が下がりやすいのは、背骨に海綿骨が多いためです。
骨は毎日作り替えられている
骨は一度できたら変わらない、というイメージがあるかもしれませんが、実際にはまったく違います。体のなかでは、古い骨をこわす細胞と、新しい骨を作る細胞が絶えず働いています。
この繰り返しを骨リモデリングと呼びます。ひとつの場所で、こわす・作るの1周期が終わるまでにはおよそ数か月かかり、全身の骨は数年をかけて少しずつ入れ替わっていきます。
骨量が減るのは、こわす量が作る量を上回った状態が続いたときです。逆にいえば、この釣り合いを保つことが、骨密度を維持するうえでの基本になります。
骨密度の変化を見るのに時間がかかる理由
作り替えの1周期に数か月かかるため、生活を変えてもその結果が数値に表れるまでには相応の時間がかかります。骨密度の測定を短い間隔で繰り返しても、変化は誤差に埋もれてしまいます。測定の間隔について詳しくはこちら。
一生のうちで骨量はこう変わる
骨量は生涯を通じて一定ではありません。増える時期、保たれる時期、減っていく時期があります。
成長期:一気に増える
骨量は思春期に急激に増えます。この時期にどれだけ骨を蓄えられたかが、その後の一生に影響します。
20代:最大骨量(ピークボーンマス)
多くの人が20代のうちに、生涯で最も高い骨量に達します。これを最大骨量(ピークボーンマス)と呼びます。ここが「貯金の最高額」にあたり、以降はこの蓄えを少しずつ取り崩していくことになります。
40代以降:緩やかに減っていく
加齢とともに、こわす量が作る量をわずかに上回る状態になり、骨量は少しずつ減っていきます。この減少そのものは誰にでも起こる自然な変化です。
女性の閉経前後:減り方が速くなる
女性ホルモンには骨をこわす働きを抑えるはたらきがあります。閉経によってこのホルモンが大きく減ると、そのブレーキが弱まり、数年のあいだ骨量が比較的速く減る時期が訪れます。女性に骨粗鬆症が多いのは、この時期があることと、もともとの骨量が男性より少ないことが重なるためです。
男性は関係ない、ということではありません
男性にも加齢による骨量の減少は起こります。女性のような急な落ち込みがないぶん自覚されにくく、発見が遅れやすいという別の問題があります。背が縮んだ、軽い転倒で骨折した、といった心当たりがある場合は、年齢にかかわらず一度相談してみてください。
YAM値・Tスコア・Zスコアの読み方
検査結果には、いくつかの表し方が並んでいます。それぞれ「何と比べた数字か」が違います。
YAM値:若い人の平均と比べる
20〜44歳の健康な人の平均を100%として、自分が何%にあたるかを示した値です。日本ではこの値が診断の中心に使われます。
Tスコア:ばらつきの何倍離れているか
同じく若い人の平均を基準にしますが、平均からのばらつき(標準偏差)の何倍離れているかで表します。世界的にはこちらが使われ、−2.5以下が骨粗鬆症の目安です。YAM値70%はおおよそTスコア−2.5に対応します。
Zスコア:同年代と比べる
同じ年代・同じ性別の平均と比べた値です。若い方や、ほかの病気が骨に影響している可能性を考えるときの参考になります。ただし「同年代と比べればふつう」でも、骨折の起こりやすさそのものは年齢とともに上がります。Zスコアだけで安心はできません。
数値は測り方とセットで意味を持ちます
同じ人でも、測る方法や体の部位が変われば数値は変わります。前回と比べたいときは、できるだけ同じ方法・同じ施設で測るのが基本です。測定方法の違いについて詳しくはこちら。
骨密度だけでは決まらない「骨質」
ここまで骨密度の話をしてきましたが、最後にひとつ補足があります。骨の丈夫さは、骨密度だけで決まるわけではありません。
先ほどの建物のたとえに戻ると、コンクリートの詰まり具合(骨密度)が同じでも、鉄筋そのものが傷んでいれば建物は弱くなります。この鉄筋にあたる部分、つまりコラーゲンの状態や骨の微細な構造をまとめて骨質と呼びます。
骨の強さは、骨密度と骨質の両方によって決まると考えられています。骨密度が同じ2人でも骨折の起こりやすさが違うことがあるのは、このためです。また、年齢が高いほど、同じ骨密度でも骨折は起こりやすくなります。
とはいえ、骨質は現時点で簡単に測れるものではありません。数値として確かめられる指標として、骨密度がいまも最も重要な手がかりであることに変わりはありません。
よくある質問
骨密度とは何ですか?
骨にカルシウムなどのミネラルがどれだけ詰まっているかを表した数値です。一定の面積あたりの骨の成分量を測り、g/cm²という単位で表します。
骨密度はいつが一番高いのですか?
多くの人が20代のうちに生涯で最も高い骨量に達します。これを最大骨量(ピークボーンマス)と呼び、以降は加齢とともに緩やかに減っていきます。
若いうちから気にする必要はありますか?
成長期にどれだけ骨を蓄えられるかが、その後の一生に影響します。極端な食事制限や過度なやせは、この時期の骨量の蓄えを妨げることがあります。将来のための備えという意味では、若い時期こそ関係が深いといえます。
骨密度が高ければ骨折しないのですか?
そうとは限りません。骨の丈夫さは骨質と呼ばれる要素にも左右され、同じ骨密度でも年齢が高いほど骨折は起こりやすくなります。骨密度は重要な目安のひとつですが、唯一の指標ではありません。
一度減った骨密度はもう戻らないのですか?
骨は作り替えられ続けているため、変化しないものではありません。ただし、どの程度変えられるかは年齢や状態、原因によって大きく異なります。数値が気になる場合は自己判断せず、医療機関で相談してください。
参考
- 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン(日本骨粗鬆症学会/日本骨代謝学会 ほか)
- 原発性骨粗鬆症の診断基準(日本骨代謝学会)
- e-ヘルスネット 骨粗鬆症(厚生労働省)
※本ページは一般的な健康情報の提供を目的としたものです。診断・治療については医療機関にご相談ください。
日本骨密度プロジェクト
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